2022年12月3日 しかけ絵本講座2日目
11月26日から、土曜日3週連続で絵本講座「大人が出会うしかけ絵本〜2次元から4次元まで〜」を開催しています。講師は、絵本作家でしかけ絵本の研究もしている吉田稔美さん。しかけを2次元、3次元、4次元に分けて、講義・実見・制作を組み合わせて紹介してもらいます。
2回目は、3次元のしかけについてお話いただきました。華やかなしかけ絵本といえば、やはりポップアップなどの立体的なしかけ。講座の最初に、吉田さんが手掛けたポップアップ絵本についてお話いただきました。こうしたしかけ絵本は、絵を担当するイラストレータや絵本作家とペーパーエンジニアという専門家が協力して作られることが多いそうで、そのプロセスをスライドで紹介いただきました。
その後、ご自身が収集したたくさんの絵本を手に、吉田さんが1冊ずつ丁寧に説明してくださいました。まずは、しかけ絵本の祖とも言われるメッゲンドルファーの復刻絵本から始まり、メリーゴラウンド型の豪華な絵本、劇場型のワクワクするような絵本、チェコの古いポップ絵本など、クラシカルな絵本を紹介いただきました。こうしたものには、年月を経ても古びない魅力があるということです。クリスマスの時期にぴったりの絵本も見せてもらいました。一方で、近年にはロバード・サブダに代表されるポップアップやレーザーカットによる切り抜きなど、豪華なしかけ絵本が次々に発表されていて、新しい技術や組み立て方の説明も興味深いです。
立体的なしかけ絵本は、開くと、いろいろなものが立ち上がったり、奥行きがあらわれたり、中には飛び出したうえに変身するしかけもあり、吉田さんの手元をみなさん真剣に見ていました。さらには日本の戦中のもの、あまり流通しなかったもの、手作りのものなど、なかなか目にすることのない資料もたくさん見せていただきました。
吉田さんの解説の後には、前回同様に、参加者のみなさんが手に取ってしかけ絵本を楽しむ時間もたっぷりとりました。どんなしかけ絵本か知っていても、自分の手元でしかけが展開すると、やはり驚いてしまうものですね。さらに、しかけだけでなく、そこに魅力的な絵やストーリーがあることで、1冊の絵本となるというのは、手元で見ると実感できます。
そして最後の30分ほどは、今回も参加者の方々にも簡単な制作に挑戦してもらいました。切り込みを入れ何か所か折るだけで、家の形が立ち上がります。同じポップアップのしかけであっても、色鉛筆やペンでさまざまな絵を描くと、全然違うものになりました。
次回はいよいよ最終回。4次元のしかけです。時間、動き、錯覚などを組み合わせたしかけ絵本をご紹介いただきます。