2022年12月10日 しかけ絵本講座3日目

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ページ番号4001728  更新日 2022年12月11日

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11月26日から、土曜日3週連続で絵本講座「大人が出会うしかけ絵本〜2次元から4次元まで〜」を開催しています。講師は、絵本作家でしかけ絵本の研究もしている吉田稔美さん。

最終回となる3回目は、4次元のしかけについてお話いただきました。まずは、吉田さんに頂いたペーパーの小さな丸い穴を覗き込み、人間の目の機能を上手く用いたしくみについて学びました。穴を片目で覗き、向こう側の奥行きが強調される様子を、各々が実感できました。このしくみを用いたのが、17世紀末にヨーロッパで考案された光学おもちゃ「ピープショー」です。ピープショーは、絞り効果で中の絵が遠近感を伴って立体的に見え、不思議な体験が味わえるものです。

その後、吉田さんがご自身で収集された絵本や紙類などをご紹介してくださいました。最も古い19世紀イギリスのピープショーも、惜しげなく披露してくださいました。イギリスでは、戴冠式などの王室や博覧会など、国の重要な行事の折にピープショーが盛んにつくられていたそうです。日本の事情についても、浮世絵版画の一つである浮絵にはじまり、かつてあった屋台の覗き穴といった見世物としての「覗き」の文化などを、豊富な資料を踏まえてお話し頂きました。洋の東西をまたにかけたお話に、参加者の皆さん興味津々です。中には、日本の『小学一年生』の付録もありました。ところで、耐久性の面で完全な形で残りづらいというのは、ある意味ピープショーの宿命ですが、中には復刻された作品もあります。それらは初版当時とは少し体裁を変えてしまう場合もありますが、吉田さん曰く「その時代時代のサービスが感じ取れるようでむしろ面白い」ということです。

解説の後には、今回も手に取ってしかけ絵本を楽しむ時間がたっぷりあり、皆さん楽しそうにめいめい穴を覗き込んでいました。形も時代も様々なピープショーを前に、吉田さんが強調された「誰かを驚かせよう、わくわくさせよう、フフッと言わせたい」という「しかけマインド」が何より大切ということばが印象的でした。

そして最後の30分ほどは、今回も参加者の方々にも簡単な制作に挑戦してもらいました。ピープショーの仕組みを生かすには、近景・中景・遠景のメリハリがついたものが重要とのことで、それらを意識して、限られた時間の中で皆さん集中して黙々と作品を仕上げてくださいました。時節柄、クリスマスを意識した作品も見られました。

連続三回にわたる講座を通して、参加者の皆さんはめくるめくしかけ絵本の世界をとても楽しんでくださったようです。吉田さん、ありがとうございました。(3日目参加者11名)

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