天津わかしお学校(令和7年12月8日訪問)

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ページ番号1060769  更新日 2025年12月23日

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教育長訪問記

 12月8日(月曜日)天津わかしお学校を訪問しました。

 本校は、千葉県・房総半島の東南部、鴨川市の天津地区にあり、学校の目の前には太平洋が広がっています。豊かな自然に囲まれて、子どもたちは学校生活を送っています。本校は、ぜん息、肥満、偏食、虚弱などの健康改善を目的とする病弱特別支援学校です。区内の小学校と同じ学習をしながら、「自立活動」などの時間を通して、健康を回復していきます。寄宿舎が併設されており、子どもたちは親元を離れ、集団生活をしながら学校に通います。

 教育目標は「健康な子 体力、学力、自信をつける」で、めざす児童像は、目標をもち「なりたい自分」をめざして「か・つ・や・く」する子で、これは「か」んがえる、「つ」よくなる、「や」さしくなる、「く」じけないの頭文字です。

 山中校長のリーダーシップのもと、子どもたちが生き生きと学び、生活することができる学校として、運営されています。

写真:多様な学校行事の写真
多様な学校行事の写真


 本校の特徴は、健康改善を目指した教育活動が随時行われていることはもちろんですが、年間60時間ある「自立活動」や、寄宿舎での生活は異年齢(3年生〜6年生)であることが挙げられます。学校という場所は同じ学年の子どもが同じ教室で学ぶというのが当たり前ですが、これは近代学校制度が始まった明治5年以降の学校がそのような仕組みを採用したからです。まだ153年しか経っていませんが、それ以前は寺子屋にしても藩校にしても、違う年齢の子どもが一緒に学ぶのが当たり前でした。地域社会のさまざまな活動もそうです。同じ年齢の子どもが学ぶメリットはありますが、違う年齢の子どもが学ぶメリットもあります。その後者のメリットに注目し、子どもを真ん中に据えた教育を行うのが、私が開校から2年間校長をした大日向中学校(私学、長野県佐久穂町)などが採用しているイエナプラン教育です。子どももおとなも、年齢だけでなく、そもそも一人ひとり個性があって違っている。そのことを当たり前のこととして受け止め、違うからこそ助け合って学び合って成長していく。そのような考え方です。この考え方に板橋区内の学校で最も近いのが本校です。個別に支援が必要なことはサポートしつつ、協働的な学びを通して、子ども同士が学び合って成長していきます。そのような姿が、本校では随所に見られます。


写真:授業の様子
授業の様子


 本校は特別支援学校ということもあって、一学級の基準は6名、少人数での授業が行われていますが、学年合同で行うこともあるそうです。さらには、上で述べたとおり、違う学年の子どもが一緒に行うものもあります。このように、多様な形態での学びが実践されているのも特徴です。



写真:海が目の前に広がる校庭で活動
海が目の前に広がる校庭で活動


 午後の自立活動では異学年の班がチームになって、上の写真のように、フラッグフットボールのゲームを行なっていました。各班の6年生がリーダーとなって、班のメンバー全員で作戦を考えてからゲーム開始です。試合中も常に助け合ってプレイしている姿が印象的でした。

 本校では、成果を表彰することなど、子どもたちが自信をもって生活できるよう、さまざまな取り組みがなされています。例えば、自分で距離を決めて走るマラソンでは、1km、2km、3kmから自分の走力に合わせて選んで学校の前の海岸沿いの道を走るのですが、年間を通して目標を達成した子どもを表彰するようになっています。また健康課題への取り組みでは、一人ひとりの状況に応じた個別指導がなされ、肥満や偏食などの課題に改善が見られた場合には、賞賛してもらえる仕組みがあります。このように本校では、子どもの自己肯定感を高めることで、自信をもって学習し生活していくことができるよう、さまざまな教育活動が行われています。冒頭で紹介した本校の教育目標の最後に「自信をつける」が入っていることからも納得できますし、子どもを真ん中に据えた教育のイエナプランに通じるところがあると思います。


写真:当日の給食
当日の給食


 この日の給食は上の写真のようにチャーハンなどで、ランチルームで全学年が一緒に食べます。私も一緒に、子どもたちと同じ代金350円を支払っていただきましたが、健康に留意している学校ということもあって、栄養バランスもとれていて、子どもの頃の給食の主食が毎日パンだった私には、とても贅沢に感じました(ちなみに脱脂粉乳の世代よりは下で、牛乳は三角錐のパック入りでした)。

 末尾に、本校の特色ある教育がますます充実・発展するよう期待しています。


(記・長沼豊教育長)

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