2024年7月14日 グスティさん講演会

このページの情報をXでポストできます
このページの情報をフェイスブックでシェアできます
このページの情報をラインでシェアできます

ページ番号4001896  更新日 2024年7月15日

印刷大きな文字で印刷

7月14日には、夏のアトリエの講師を努めてくださった、アルゼンチン出身のイラストレーターのグスティさんによる一般向けの講演会を開催しました。講演会の冒頭には、自分の人生をすっかり変えたという次男のマルコさんを壇上で紹介されました。
グスティさんは前日まで開催していた夏のアトリエの疲れを全く感じさせることなく、講演会ではパワフルに、ユーモアたっぷりにご自身のことやイラストレーターとしての思いを、鉛筆との旅になぞらえてお話くださいました。(2022年にはメキシコとスペインで「鉛筆の旅」という本を出版されました)

導入は、鉛筆を抱えて生まれたというグスティさんの生い立ちやアルゼンチンの家族についてのお話から。(化粧品の訪問販売員としてトップセールスをあげていたお母さまのエージェント能力についてのエピソードでは、会場中が笑いに包まれました。)
そして、イラストレーターとして、鉛筆とともにどんな旅をされてきたのかという本題に入りました。ボローニャ展に応募したり、有名な賞をとったり、多言語で出版したりしてきたグスティさんですが、イラストレーターは仕事ではなく、生きることそのものであることに気づいたそうです。イラストレーターにとって大事なのこととして、自分を信じることと我慢強くあることを挙げ、鉛筆は魔法の道具であり、友達を作ってくれるものでもあるということを、たくさんの経験とスケッチブックのスライドでご紹介くださいました。ジャングルで原住民の人たちと過ごしたこと、高齢者や羊飼いとの出会い、喫茶店の人々のスケッチ…… いつもグスティさんが鉛筆を持って絵を描き、それを通してコミュニケーションをとり、視野を広げていっていることが分かります。
グスティさんはまた、鉛筆には傷を癒す力や笑わせてくれる力があるとも言い、ご自身の家族や子育てのエピソードとともにお話されました。さらに、インクルージョンというテーマにも話は及んでいきました。絵を通じてメッセージを伝え、受けとることができると言い、自閉症のある人たちとのワークショップやマルコさんとの日々のやり取り、マルコさんが自分の人生に訪れてきてくれた意味に気づいたエピソードもご紹介くださいました。
夏のアトリエで、感謝することや謙虚であることの大切さをイラストレーターたちに伝えてくれたグスティさんは、どんどん小さくなって犠牲になってくれる鉛筆にも感謝しなければいけないと言って、鉛筆との旅の講演を締めくくられました。
最後には、会場からの質問を受けて、ご自身の絵本「天使じゃない」(2017年にスペインとメキシコで刊行)を紹介してくれました。ダウン症を持ったマルコさんに対する正直な気持ちを表現したとおっしゃっていました。

グスティさんは今回、マルコさんと妻のアンヌさんと一緒に来日され、講演会にはお二人も会場にお越しくださいました。グスティさんのお話にアンヌさんが鋭い突っ込みを入れたり、グスティさんがマルコさんに声をかけたりする場面もあり、朗らかなグスティさんの話しぶりとも相まって、終始笑いの耐えない楽しい講演会となりました。

通訳は、夏のアトリエに続いて森泉さんが努めてくれました。とめどなく話が続いてゆくグスティさんの講演会でしたが、アトリエの5日間でグスティさんの考え方を深く理解して吸収された森泉さんは、ほとんど同時に、的確に日本語にしてくれたので、聞いている私たちは通訳を介していることを忘れてしまうほどでした。

グスティさん、森泉さん、ありがとうございました!

イベント風景1

イベント風景2