2024年8月10日 チャン・ヨンスさん こどもアトリエ
8月10日に、3歳から小学生の子どもと保護者を対象にした造形ワークショップ「こどもアトリエ」を開催しました。講師はイラストレーターでデザイナーのチャン・ヨンスさんです。チャンさんは韓国のご出身で長く日本で活動されており、韓国絵本の翻訳なども手掛けています。先日は板橋区立中央図書館でも韓国絵本についての講演をされるなど、韓国、日本の絵本にもとても造詣が深くいらっしゃいます。今回は、紙でお花や虫などをつくり、それを花びんにかざるというワークショップを行いました。
最初はまず導入として、チャンさんはが翻訳した韓国の赤ちゃん絵本『あかちゃんが ぴたっ』（文：チェ・ジョンソン、絵：ハン・ビョンホ、ブロンズ新社、2012年）を読み聞かせをしてくださいました。いろいろな動物の赤ちゃんが、お母さんやお父さんに「ぴたっ」とくっつく絵本で、参加者はチャンさんの「ぴたっ」という声とともに、親子で体をくっつけあいます。チャンさんの優しい声はこの絵本にぴったり。和気あいあいとした空気がここで生まれます。
そのあとは、絵本に出てくる動物にあわせて、韓国語と日本語の動物の鳴き声の違いについて教えてくださいました。例えば、うさぎが飛び跳ねる音である「ぴょんぴょん」は、韓国語では「カンチュンカンチュン」になります。参加者の皆さんは、口に出して表現の違いを楽しんでいました。
読み聞かせのあと、チャンさんはご自身がつくったサンプルの作品を見せながら、今回のワークショップについて説明してくださいます。まずは画用紙やさまざまな紙をつかって、お花を描いていきます。ストローや割りばしなどを茎に見立て、お花を先端につけると、一本出来上がりです。
チャンさんが作ってくださったサンプルのように、白い画用紙に黒いマーカーをつかってシンプルに描いたり、包装紙や色紙を切り貼りしてみたり、紙を重ねてバラみたいにしてみたり、布や綿などを使って立体的にしてみたりと、さまざまな方法でお花をつくっていきます。茎の部分も緑色に塗ったり葉っぱをつけてみると、どんどんお花らしくなっていきます。シンプルな作業のようで、いろいろと工夫のしがいがあるためか、それぞれの自由な発想が目に入ります。
お花とともに、そのそばにいる昆虫たちもつくります。ミツバチやチョウチョにトンボ、夏らしいカブトムシやクワガタなどの虫だけでなく、なんとお魚といった海の生き物など、多種多様な生き物たちが登場します。
制作中も、チャンさんはこどもたちとたくさんお話してくださっていました。見守りながらも時にはアドバイスをしたり、どうやってつくるか一緒に考えてくださいます。
お花や虫が出来上がってきたら、次は花びん作りです。参加者の方にはそれぞれ500mlくらいの空のペットボトルを持って来てもらいました。保護者の方の力を借りて、ペットボトルの上部をカッターやハサミで切っていきます。そのペットボトルの部分を隠すように、紙を使って花びんカバーを作っていきます。
A4サイズの画用紙を半分に折ったものに花びんの絵を描き、ハサミをつかって切り出したら両端をとめます。それをペットボトルにかぶせると、自分だけのオリジナルの花びんカバーの出来上がりです。自分のつくったお花にあわせて、花びんもさまざまなものがつくられていきます。チャンさんも「いけばなみたいに」とおっしゃっていましたが、できあがった花びんにお花をどのように飾るかも悩みどころ。みんないろいろな角度をつけて、一番いいかたちを考えていました。
最後は、作品の発表会です。みんなが制作したものが、机のうえにずらっと並びます。チャンさんもおっしゃっていましたが、まるでお花畑のようです。「発表したい人」とチャンさんが声をかけ、手を挙げてくれた人から自分のつくったものについて発表してもらいました。恥ずかしがっていた子もいましたが、「どれが一番好き？」とチャンさんが声をかけていくと、みんな自分の好きなお花や虫を教えてくれました。自分ひとりでつくりあげた花びんもあれば、家族みんながつくったものが同じ花びんのなかにさしてあるものもあり、バリエーションに富んだ作品ができあがりました。
今回夏休みということもあり、保護者の方の参加も多かったのですが、大人もこども一緒になって一生懸命つくっている姿が印象的でした。みなさん大満足のワークショップだったのではないでしょうか。おうちにある素材でも簡単につくれるので、ぜひおうちでも楽しんでみてくださいね。
チャン・ヨンスさん、すてきなワークショップをありがとうございました！
