2016年8月13日 夏の教室2日目

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ページ番号4000895  更新日 2020年1月28日

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夏の教室二日目の最初のコマは、本講座コーディネーターの広松由希子さんです。前日に言及しきれなかった2冊、『うまれてきた子ども』(佐野洋子作)と『ぶんぶんむしとぞう』(マーガレット・ワイズ・ブラウン作、クレメント・ハード絵、中川李枝子訳)を紹介してくれました。これらは広松さんにとって、“「わからない」のが好き”な絵本。すぐにわからなくても、繰り返し読んだり時間をおいて見たりして、少しずつ理解したり、受け止め方が変わることもあるそうです。

写真:講座の様子1


後半は、「絵本を伝える」。まずは自分の好きな絵を改めてじっくり読み、好きなポイントを書き出していくという作業から。その後、その絵本を紹介する“書評”に挑戦。20文字の見出しと100文字の紹介文を書きました。好きな絵本なだけに、短い文章でまとめるのは難しかったようですが、プロ顔負けの自信作や、詩情あふれる紹介文など、力作がそろいました。お互いの書評を読むのも、また楽しみです。

写真:講座の様子2

写真:講座の様子3


午後の最初のコマは、刈谷市美術館の松本育子さんにお越しいただきました。松本さんは、絵本に関する多くの展覧会を担当していて、今年2月に当館で開催した「子供之友原画展」の企画者でもありました。いつも徹底的で緻密な調査をもとに展覧会を準備される松本さんですが、今回はこれまでに手掛けた展覧会の中でもとりわけ強い思い入れのある、瀬川康男さん、宇野亞喜良さん、井上洋介さんを取り上げました。3人それぞれについて、若いころからの画業の変化を追いながら、制作技法や印刷技法、アトリエでの様子や道具へのこだわり、スケッチや草稿の調査などにも触れつつ、絵本作家としての側面を中心にお話しいただきました。広松さん曰く“偏愛学芸員”の松本さん。強烈な個性の光る3人の作家たちへの深い愛を、1時間半という短い時間にギュッと詰め込んで語ってくださいました。

写真:講座の様子4

写真:講座の様子5


松本さんは貴重な絵本や資料もたくさんお持ちくださり、講義終了後も参加者のみなさんは手に取ってじっくりご覧になっていました。

今回の最後のコマは、スロヴァキア在住の絵本作家、降矢ななさんにお越しいただきました。お母さまが画家で編集者のおばさまもいらっしゃるという環境で育ちながら、挫折も経験してデビューするまでについて、最初にお話しくださいました。キャリアを積みながらも悩みつつ制作を続けていらした様子や、スロヴァキアでの留学生活のエピソードも披露してくださいました。途中から受講者のみなさんからの質問も受けつつ、スロヴァキアに行く前から降矢さんと一緒に仕事をしていたという広松さんとの対談形式で進められました。絵本作りにおいて大事にしていることや、今後挑戦したいこと、降矢さんの絵本にしばしば登場するキツネなど、制作の核心に迫るような質問にも、ひとつひとつ丁寧にお答えくださいました。受講者には降矢さんのファンも多く、講義終了後にはサインを求める長い列ができました。

写真:講座の様子6

写真:講座の様子7


2日目のお昼休みにも、急遽、当館副館長によるボローニャ展についてのミニトークがあり、1日3コマの予定でしたが、毎日3.3コマくらいになったようでもあります。
絵本への深く強い愛情にあふれた講師陣による今年の夏の教室、いかがでしたか?連続講義を聞くだけでもかなりの気力が必要ですが、広松さんのお持ちくださった絵本に寸暇を惜しんで目を通したり、講義開始前にボローニャ展を見たり、参加者のみなさんも同じく大きな愛で受け止めてくださったようです。ご参加ありがとうございました!

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