2016年3月1日 中島京子さん講演会

このページの情報をツイッターでツイートできます
このページの情報をフェイスブックでシェアできます
このページの情報をラインでシェアできます

ページ番号4000981  更新日 2020年1月28日

印刷大きな文字で印刷

2月27日、作家の中島京子さんによる講演会「子どもの本と『小さいおうち』の時代」を開催しました。

写真:講演会の様子


中島さんの『小さいおうち』(直木賞受賞)は、昭和初期の家庭を女中の目を通して描いた名作です。モダンな住宅、会社員のやさしい旦那様、美しい奥様、かわいい坊ちゃん、そして気の利く女中。当時新しく台頭した中間層の家庭が小説の舞台です。戦争が近づく時代ではありますが、作品中には豊かな都市文化も丁寧に描写されています。

『小さいおうち』の時代に重なるのは『子供之友』の後半期ですが、講演会では、国木田独歩の『武蔵野』を導入に、日本の近代以降の都市や郊外の形成、そして都市文化や「大衆」の成立からお話が始まりました。また、そうした時代に創刊された『子供之友』を見ると、第一線の画家たちが素晴らしい作品を残し、いかに子どもたちを大事にして情操教育を重視していたことがよく分かると驚かれていました。しかし、『小さいおうち』にも描かれる戦中期に入ると、『子供之友』も厳しい時期を迎えます。休刊を余儀なくされる頃には、誌面に時局が表れることも指摘されました。

自由学園や当時の雑誌文化、さらに小説中のエピソードにも触れながら、大正~昭和の時代をふりかえる講演となり、『子供之友』から現代の私たちが学ぶべきたくさんのことに気づかせてもらいました。(聴講約60名)

板橋区立美術館のあたりには、中島さんが幼い頃に親しんだ懐かしい風景が残っているとのこと。
美術館前の公園では、そろそろ梅も見ごろを迎えます。植物園も近くにありますので、お天気のいい日には、お散歩もおすすめです。

このページに関するお問い合わせ

板橋区立美術館
〒175-0092 東京都板橋区赤塚5-34-27
電話:03-3979-3251 ファクス:03-3979-3252
区民文化部 文化・国際交流課へのお問い合わせや相談は専用フォームをご利用ください。